2021-03-12
3.11の津波では、気象庁の出した3m以上の津波警報を聞いて、3mなら大したことはないと思い避難しなかった人の多くが犠牲者になった。これが大津波警報や津波警報だけ出して3mという定量的な数値を出さなかったらどうなっていただろうか。
一般に定量化は分かりやすいので、説得力があり、政治家もよく使う方法だが、このような危険性も含んでいることを認識する必要がある。人間は最も重要な点(ここでは以上という部分)を良く見落とし、分かりやすい部分だけで判断しがちだ。
では、安全という言葉はどうだろうか。安全設備がついているから安心だという常套句は常に注意したほうがよい。新しい安全設備は予想外の大きな事故の危険性をはらんでいるからである。
それで思い出すのは、中国が建設中の新型原子炉である。この原子炉は流体浮上型制御棒という冷却材流量が低下すると自動的に挿入される制御棒を設置している。これは安全だと思われるかもしれないが、チェルノビル型の事故を発生する可能性がある。チェルノビルの事故の原因は現在では低出力状態での制御棒挿入で、下部にあった水(中性子吸収材)が押し出され、制御棒下部についていた黒鉛(中性子減速材)に置き換わることで大きな反応度が挿入され爆発した。これと同じように、流体浮上型制御棒が炉心の上部から挿入される際に、制御棒チャンネルから漏洩しているはずの中性子の流出を上から蓋をする形で抑制することで、同じように爆発する可能性がある。このような新たな安全設備の導入はより注意して評価する必要があるだろう。
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